■ 鎌(かま)・鉈(なた)の研ぎ方について |
1.はじめに |
鎌類に限らず刃物は全て、購入した時一般的にはすぐ使用できるように刃付けしてありますが、使用前に研磨することは刃物の性質がわかり、このため刃こぼれを防止でき、作業も容易にできるので必ず研磨するよう心がけて下さい。
また、使用しているうちに刃先が磨耗し切れ味が鈍ってくると、作業能率も落ち、疲労度も大きく、このため災害の原因ともなりかねないので、このような状態になる直前に刃物を再び研磨することが大切です。 |
2.砥石について |
「研ぐ」ということは、研石に刃先を押し当て、加圧と摩擦を繰返して刃先を研磨することです。
この砥石には「天然砥石」と「人造砥石」とがあり、一般には後者が多く使用されている。
また種類も数多くありますが大別すると「荒砥石」「中砥石」「仕上砥石」の三種類があり、以下「人造砥石」について説明します。 |
(1).荒砥石(#80〜120位の物)
砥粒が大きく荒く、刃物を研磨する力が大きい。
刃が欠けた時や刃ごしを抜く場合に使用します。 |
(2).中砥石(#600〜500位の物 コンビ)
荒砥石の次に使用。荒砥石より砥粒が小さく、研磨する力と磨く力とを併せ持っている。
新品の刃物を使用する前の刃付けに使用すると良い。
また鎌類などは、この砥石で仕上げることもあります。 |
(3).仕上砥石(#700〜800位の物 コンビ)
中砥石で研いた後でもまだ小さい傷があるのでこれをなくし、刃先により切れ味を出すために使用します。 |
3.研ぎ方について(共通) |
(1).人造砥石は、吸水性があるので、研ぐ前に3分間以上水に浸しておくこと。(砥石の磨耗を防ぎます。) |
(2).両刃鎌の特徴は、ハガネが真ん中に入っているので、刃先の角度は左右同じになるように研ぐことが大切です。 |
(3).刃先は砥石面に対し、一定の角度を保つようにして研ぐこと。 |
(4).先端部の曲線部は、砥石の先端部の角などで部分研ぎをするか、刃型に合わせた丸砥石などで研ぐこと。 |
(5).刃の部分に熱を帯るような研ぎ方は絶対おこなわないで下さい。
例えば、空研ぎ・グラインダー・動力高速回転砥石など、
いずれも水を使用しないで研ぐと、焼きが戻り、長切れがしなくなり、刃先が曲がる原因となるからです。 |
4.研ぎ方について(据え置き砥石) |
(1).刃先は、砥石面に対し
一定の角度を保つようにして研ぐこと。(図-1) |
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(2).刃先線に対し、45度〜50度くらいの角度をもって、斜め前方に鎌を押して研ぐようにすること。
丸刃になるのを防ぐことになります。(図-2) |
(3).砥石面は平らに保つようにして使用すること。
(砥石面は中央部が摺り減り勝ちなので、中央部が高くなる様な気持ちで研ぐこと)
砥石面が変形してくると、刃先の角度も変わってきて丸刃になり易いので、
変形が認められたら(中央部が摺り減ったら)、
砥石と砥石を水につけながら摺り合わせるか、平らな石などで摺り合わせ平らにする。
荒砥石などのときは、細い砂などを少しまいて摺り合わせると能率があがる。(図-3) |
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(4).研ぐときは、刃先が砥石面からはずれない程度に、なるべく砥石一杯に使うようにすること。(図-2) |
5.研ぎ方について(携帯用砥石) |
(1).刃先線に対し、45度〜50度くらいの角度をもって、斜め前方に砥石を押して研ぐようにすること。(図-4) |
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(2).携帯用砥石使用の場合は、砥石を動かすので刃物はしっかりと固定し、
砥石に一定の角度を保つようにして研ぐこと。
又、砥石を水平にして研げるように切り込みを入れた「研ぎ台」をつくり、鎌をしっかりと押さえ、
砥石を動かすときは力を入れ、引くときは力を抜き、刃先に砥石が引っ掛からないようにすること。
図-5における点線のような研ぎ方をしないこと。 |
(3).(図-6)のように、刃先に沿って砥石を左右に動かし、横研ぎをすると刃先が丸くなるので注意すること。 |
(4).(図-7)のように、手前に刃先を向けて研ぐ危険な逆さ研ぎは絶対にしないこと。 |
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